kintoneからHubSpotへの移行ガイド|顧客管理・案件管理の移行手順とデータ設計

  • 2026年3月11日
  • 最終更新: 2026年3月11日

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kintoneからHubSpotへの移行ガイド|顧客管理・案件管理の移行手順とデータ設計

「kintoneで顧客管理をしているけど、マーケティングや営業を一体化したい」「kintoneのアプリが増えすぎて管理が大変になった」——こうした課題をきっかけに、kintoneからHubSpotへの移行を検討する企業が増えています。

> kintoneとHubSpotの機能比較・選定判断については「kintone CRM移行 HubSpot|CRMとして限界を感じたときの判断と手順」を参照してください。本記事では、kintoneからHubSpotへの全面移行を決めた後の具体的な実行手順に特化して解説します。

kintoneはサイボウズが提供する業務アプリ構築プラットフォームです。ノーコードで顧客管理・案件管理・日報管理などのアプリを自由に作れる柔軟性が強みですが、マーケティングオートメーション(MA)やSFA(営業支援)の機能は標準では備えていません。一方、HubSpotはCRM・MA・SFA・カスタマーサポートを一つのプラットフォームで提供しています。

本記事では、kintoneからHubSpotへの移行に必要なデータ設計の考え方、具体的な移行手順、kintone固有機能のHubSpotでの再現方法を解説します。

本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。

この記事でわかること

  • kintoneのアプリ構造とHubSpotのオブジェクト構造の対応関係
  • 顧客管理アプリ → HubSpotコンタクト・企業への変換手順
  • アプリ間リレーション → HubSpot関連付けへの設計変換
  • カスタムフィールド → HubSpotプロパティの型変換ルール
  • kintoneのプラグイン・カスタマイズのHubSpotワークフローでの再現方法
  • データエクスポート → CSVインポートの実践手順

kintoneとHubSpotの構造的な違い

アプリとオブジェクトの根本的な違い

kintoneとHubSpotでは、データの構造化の思想が大きく異なります。

kintoneは「アプリ」という単位でデータベースを自由に構築できます。顧客管理アプリ、案件管理アプリ、問い合わせ管理アプリなど、業務に合わせてアプリを自由に作成し、それぞれのアプリにフィールドを自由に設計します。

HubSpotは「オブジェクト」という固定のデータ構造を持っています。コンタクト(人)、企業、取引(商談)、チケット(問い合わせ)という4つの標準オブジェクトが用意されており、これらのオブジェクト間は「関連付け」で紐づけられています。

kintoneHubSpot備考
顧客管理アプリ(個人)コンタクト標準オブジェクト
顧客管理アプリ(法人)企業標準オブジェクト
案件管理アプリ取引(Deal)標準オブジェクト
問い合わせアプリチケット標準オブジェクト
商品マスタアプリ商品(Product)標準オブジェクト
その他のアプリカスタムオブジェクトEnterprise プラン以上

kintone特有の注意点

kintoneは自由にアプリを作れるため、企業ごとにデータ構造が大きく異なります。同じ「顧客管理」でも、ある企業では個人と法人が1つのアプリにまとまっていたり、別の企業では分離されていたりします。

HubSpotへの移行を計画する際は、まず自社のkintoneアプリ一覧を整理し、各アプリがHubSpotのどのオブジェクトに対応するかを設計するステップが不可欠です。

顧客管理アプリからHubSpotへの変換

コンタクト・企業への振り分け

kintoneの顧客管理アプリのレコードは、HubSpotでは「コンタクト」と「企業」の2つのオブジェクトに分割して登録するのが基本です。

kintoneでは1つのレコードに会社名・担当者名・住所・電話番号をまとめて管理していることが多いですが、HubSpotでは以下のように分離します。

企業オブジェクトに入れる情報

  • 会社名
  • 本社所在地
  • 代表電話番号
  • 業種
  • 従業員数
  • WebサイトURL

コンタクトオブジェクトに入れる情報

  • 担当者名(姓・名)
  • メールアドレス
  • 直通電話番号
  • 部署
  • 役職

この分離により、1社に複数の担当者がいる場合も、企業レコード1件に対して複数のコンタクトを関連付けて管理できるようになります。kintoneでは同じ会社名のレコードが複数存在しがちですが、HubSpotでは企業を1レコードに集約できるのが大きなメリットです。

フィールドの型変換

kintoneのフィールドタイプとHubSpotのプロパティタイプは、多くの場合1対1で対応しますが、一部注意が必要なものがあります。

kintoneフィールドHubSpotプロパティ変換時の注意
文字列(1行)単行テキストそのまま移行可
文字列(複数行)複数行テキストそのまま移行可
数値数値小数点以下の桁数を確認
日付日付選択日付フォーマットの統一が必要
日時日時タイムゾーンに注意
ドロップダウンドロップダウン選択選択肢をHubSpot側に事前作成
ラジオボタンラジオ選択選択肢をHubSpot側に事前作成
チェックボックス複数チェックボックスセミコロン区切りでインポート
ルックアップ関連付け後述のリレーション変換を参照
計算計算プロパティHubSpotの計算プロパティで再現
テーブルカスタムオブジェクト or 関連付け最も変換が難しい箇所

テーブルフィールドの扱い

kintoneの「テーブル」フィールド(サブテーブル)は、1レコード内に複数行のデータを持てる機能です。たとえば、案件管理アプリの中に「見積明細テーブル」を持つケースが一般的です。

HubSpotにはサブテーブルの概念がないため、以下のいずれかの方法で再現します。

  • 商品ライン(Line Items): 見積・受注の明細はHubSpotの商品ライン機能で代替できます。取引に商品を紐づけることで、金額計算も自動化できます
  • カスタムオブジェクト: Enterpriseプランであれば、テーブルの各行をカスタムオブジェクトのレコードとして管理し、親レコードと関連付けることで再現可能です
  • 複数行テキスト: 単純な備考的なテーブルであれば、複数行テキストプロパティに集約する方法もあります(ただし検索性は低下)

アプリ間リレーションの移行

kintoneのルックアップ・関連レコード

kintoneでは、アプリ間のデータ参照に「ルックアップ」と「関連レコード一覧」を使います。ルックアップは他アプリの値をコピーする機能、関連レコード一覧は条件に合う他アプリのレコードを表示する機能です。

HubSpotでは、これらの機能を「関連付け(Association)」で再現します。

HubSpotの関連付け設計

HubSpotの関連付けは、オブジェクト間の紐づけを定義するものです。標準的な関連付けは以下のとおりです。

  • コンタクト ↔ 企業: 1対多(1企業に複数コンタクト)
  • コンタクト ↔ 取引: 多対多
  • 企業 ↔ 取引: 1対多
  • 取引 ↔ チケット: 多対多

kintoneのルックアップが担っていた「会社マスタから会社情報をコピー」という機能は、HubSpotでは関連付けによって代替されます。HubSpotでは値のコピーではなく、レコード間の参照リンクとして管理されるため、元データが更新されると関連先にも最新情報が反映されます。

関連付けの移行手順

  1. kintoneのルックアップ・関連レコードの一覧を洗い出す
  2. 各リレーションがHubSpotのどの関連付けに対応するかマッピング表を作成
  3. 標準の関連付けで対応できないものはカスタム関連付けラベルで定義
  4. データインポート時に関連付け用のキー(メールアドレス、企業名など)を含めてCSVを作成

プラグイン・カスタマイズのHubSpot再現

プロセス管理 → HubSpotワークフロー

kintoneの「プロセス管理」機能は、レコードのステータスを段階的に進める機能です。たとえば「申請中 → 承認待ち → 承認済み → 完了」というフローを定義し、各ステータスで作業者を指定できます。

HubSpotでは、ワークフロー機能で同様の自動化が可能です。

  • ステータスの遷移: 取引のパイプラインステージとして定義
  • 担当者の自動割り当て: ワークフローの「担当者を設定」アクションで実現
  • 通知: ワークフローの「通知を送信」アクションで実現
  • 承認フロー: HubSpotの承認ワークフロー機能で再現

よく使われるkintoneプラグインの代替

kintoneプラグインHubSpot代替機能
カレンダー表示HubSpotのタスク・ミーティング機能
帳票出力HubSpotの見積もりテンプレート、外部連携(PandaDoc等)
メール送信HubSpotのメールテンプレート・シーケンス
グラフ表示HubSpotレポート・ダッシュボード
条件付き書式HubSpotのビュー・フィルター機能
一括更新HubSpotの一括編集・ワークフロー

JavaScriptカスタマイズの移行

kintoneではJavaScriptカスタマイズでフィールドの表示制御や計算ロジックを実装することが一般的です。HubSpotでの代替方法は以下のとおりです。

  • 表示制御(条件付きフィールド表示): HubSpotのフォームでは条件付きフィールドの表示/非表示が設定可能です。レコード詳細画面では、プロパティグループの構成で表示する情報を整理します
  • 計算ロジック: HubSpotの計算プロパティ、またはワークフローの「カスタムコード」アクション(Node.js / Python対応)で実装可能です
  • 外部API連携: HubSpotのワークフロー「Webhook」アクションや、Data Hub(旧Operations Hub)のカスタムコード連携で実現できます

データエクスポートとCSVインポートの実践手順

kintoneからのデータエクスポート

kintoneのデータはCSV形式でエクスポートできます。手順は以下のとおりです。

  1. エクスポートしたいアプリを開く
  2. 一覧画面の右上にある「...(オプション)」メニューから「ファイルに書き出す」を選択
  3. 書き出すフィールドを選択(全フィールドまたは必要なフィールドのみ)
  4. 文字コードは「UTF-8(BOM付き)」を選択
  5. CSVファイルをダウンロード

CSVの加工(HubSpotインポート用の整形)

エクスポートしたCSVは、HubSpotにインポートする前に以下の加工が必要です。

列名の変更

kintoneの日本語フィールド名を、HubSpotのプロパティ内部名に合わせて変更します。

kintone列名HubSpotプロパティ名HubSpot内部名
会社名会社名name(企業)/ company(コンタクト)
担当者名姓 / 名lastname / firstname
メールアドレスEメールemail
電話番号電話番号phone
住所番地address

データの分割

1つのCSVに含まれている企業情報とコンタクト情報を、2つのCSVに分割します。

  • companies.csv: 会社名、住所、電話番号、業種、従業員数
  • contacts.csv: 姓、名、メールアドレス、電話番号、会社名(関連付け用)

選択肢フィールドの値変換

kintoneのドロップダウンやチェックボックスの選択肢が日本語の場合は、HubSpot側のプロパティの選択肢と一致させる必要があります。事前にHubSpot側でプロパティと選択肢を作成し、CSV内の値を一致させてください。

HubSpotへのインポート

整形したCSVをHubSpotにインポートする手順は以下のとおりです。

  1. HubSpotの「コンタクト」または「企業」画面を開く
  2. 右上の「インポート」ボタンをクリック
  3. 「ファイルからインポート」を選択
  4. CSVファイルをアップロード
  5. 列のマッピングを確認・修正(HubSpotが自動マッピングを提案するが、必ず確認する)
  6. インポートプレビューで件数とサンプルデータを確認
  7. 「インポート開始」をクリック

インポートの順序は重要です。 関連付けを正しく設定するため、以下の順序でインポートしてください。

  1. 企業データ
  2. コンタクトデータ(企業名を含め、関連付けを同時に設定)
  3. 取引データ(企業・コンタクトとの関連付けを含む)
  4. その他のデータ

インポート後の確認

インポート完了後は、以下の項目を確認します。

  • レコード件数がkintoneのレコード数と一致しているか
  • 関連付け(コンタクト↔企業)が正しく設定されているか
  • 選択肢プロパティの値が正しくマッピングされているか
  • 日付フィールドの値が正しい日付で表示されているか
  • 重複レコードが発生していないか

移行時に見落としがちなポイント

添付ファイルの移行

kintoneのレコードに添付されたファイル(PDFや画像)は、CSVエクスポートには含まれません。添付ファイルはkintone APIを使って個別にダウンロードし、HubSpotの該当レコードの「添付ファイル」として手動またはAPI経由でアップロードする必要があります。

ファイル数が多い場合は、移行ツールの利用やスクリプトによる自動化を検討しましょう。

コメント・変更履歴

kintoneのレコードに付けたコメントや変更履歴は、HubSpotには直接移行できません。必要な場合は、HubSpotの「メモ」として手動で転記するか、HubSpot APIを使ってノートとして登録するなどの対応が必要です。

アクセス権限の再設計

kintoneのアプリごとのアクセス権限設定は、HubSpotではチーム・ユーザーロールで再現します。kintoneで設定していた閲覧・編集権限をHubSpotのチーム構成に反映させましょう。

よくある質問(FAQ)

kintoneのテーブルフィールド(サブテーブル)はHubSpotでどう再現しますか?

HubSpotにはサブテーブルの概念がないため、用途に応じて代替方法を選択します。見積明細であればHubSpotの商品ライン(Line Items)機能で代替できます。それ以外のテーブルデータはカスタムオブジェクト(Enterpriseプラン以上)として管理するか、シンプルなデータであれば複数行テキストに集約する方法もあります。

kintoneのJavaScriptカスタマイズはHubSpotでも使えますか?

kintoneのJavaScriptコードをそのままHubSpotで使うことはできません。HubSpotではワークフローの「カスタムコード」アクション(Node.js / Python対応)や、Data Hubのカスタムコード連携で同等のロジックを再構築します。多くの場合、kintoneでJSカスタマイズしていた処理はHubSpotのノーコードワークフローで代替可能です。

kintoneの添付ファイルは移行できますか?

CSVエクスポートには添付ファイルは含まれません。kintone APIを使って個別にダウンロードし、HubSpotの該当レコードにアップロードする必要があります。ファイル数が多い場合はスクリプトによる自動化を検討してください。

移行後もkintoneの一部アプリを使い続けることは可能ですか?

可能です。HubSpotの標準オブジェクトでカバーできない業務特化型のアプリ(在庫管理、工程管理など)はkintoneで引き続き運用し、HubSpotとはAPI連携やZapierなどの連携ツールでデータを同期する方法が現実的です。



CRM移行のご相談はお気軽にどうぞ

kintoneからHubSpotへの移行は、アプリ構造の設計変換がプロジェクトの成否を左右します。アプリ間リレーションの関連付け移行、テーブルフィールドの再設計、ワークフローの構築まで、移行プロジェクトの全工程をサポートしています。

移行計画の策定やお見積もりについて、まずはお気軽にご相談ください。

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まとめ

kintoneからHubSpotへの移行は、アプリ構造の違いを理解したうえでデータ設計を行うことが成功の鍵です。とくに「アプリ間リレーションの関連付け変換」と「テーブルフィールドの移行方法」は、事前設計が不十分だとデータの整合性を損なうリスクがあります。

移行の進め方としては、まずkintoneの全アプリを一覧化し、各アプリがHubSpotのどのオブジェクトに対応するかを設計するところから始めてください。その上で、フィールドマッピング表を作成し、テストインポートで問題がないことを確認してから本番移行に進みましょう。


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著者情報

7-1

今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。