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DX認定制度とは、経産省が「情報処理促進法」に基づきDXに取り組む企業を認定する国の制度です。2025年時点で約1,200社が認定済みで、税制優遇(DX投資促進税制)・融資制度・DX銘柄への応募資格などのメリットがあります。要件はDXビジョン・戦略・推進体制等をウェブサイトで公表すること。申請はオンラインで行え、審査期間は約60日です。
経済産業省が2020年に開始した「DX認定制度」は、DXに積極的に取り組む企業を国が認定する制度です。2025年時点で約1,200社が認定を受けており、中小企業の認定も増加傾向にあります。
「うちの会社でも取れるのか」「取得のメリットは何か」「申請にどのくらい手間がかかるのか」。本記事では、DX認定制度の全容を実務担当者向けに解説します。
本記事は「DX推進室の立ち上げ方|組織設計・権限設定・成功する体制構築のポイント」シリーズの一部です。
本記事はStartLinkの「経営管理DX完全ガイド」関連記事です。
この記事でわかること
- DX認定・DX銘柄・DXセレクションの3制度の違いと位置づけ
- 税制優遇・融資制度・採用ブランディング・取引先評価向上など取得の具体的メリット
- DX認定取得に必要な7つの要件(ビジョン・戦略・体制・人材・IT・指標・ガバナンス)
- オンライン申請から認定取得までの具体的な手順と準備工数の目安
本記事を読むことで、DXを「掛け声」で終わらせず、実際の業務改善につなげるための具体的な道筋が見えてきます。推進担当者の方はもちろん、経営層の方にもおすすめの内容です。
DX認定制度の概要
制度の位置づけ
DX認定制度は、「情報処理の促進に関する法律」に基づく国の認定制度です。IPAが審査を行い、経済産業省が認定します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 情報処理促進法 第31条 |
| 審査機関 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) |
| 認定機関 | 経済産業省 |
| 認定期間 | 2年間(更新制) |
| 費用 | 無料 |
| 申請方法 | IPAのウェブサイトからオンライン |
| 審査期間 | 約60日 |
DX認定・DX銘柄・DXセレクションの違い
| 制度 | 対象 | 要件 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| DX認定 | 全企業(上場・非上場) | DXに取り組む経営ビジョン・戦略・体制を公表 | 基本認定。中小企業も取得可能 |
| DX銘柄 | 上場企業のみ | DX認定取得 + 優れたDX実績 | 東証と経産省が共同選定。毎年更新 |
| DXセレクション | 中堅・中小企業 | 優れたDX事例 | 中小企業庁が選定。グランプリ等を表彰 |
中小企業がまず目指すべきは「DX認定」の取得です。その上で、優れた事例があればDXセレクションへの応募も検討できます。
DX認定の取得メリット
メリット1: 税制優遇(DX投資促進税制)
DX認定企業は、DX投資促進税制の適用対象となります。デジタル関連投資に対して、投資額の3〜5%の税額控除または30%の特別償却が受けられます(2025年度税制改正時点)。
適用例:
CRM導入に500万円投資した場合、税額控除3%で15万円の税負担軽減。5,000万円規模のシステム投資であれば、150〜250万円の控除が見込めます。
メリット2: 資金調達の優位性
DX認定企業は、日本政策金融公庫の低利融資(IT活用促進資金)の対象となります。民間金融機関でもDX認定を企業評価の加点要素とする動きが広がっています。
メリット3: 採用・ブランディング
DX認定ロゴを採用サイトや名刺に使用できます。特にIT人材やデジタル志向の人材の採用において、「国がDX推進企業と認めた」というブランディング効果は無視できません。
メリット4: 取引先からの信頼
大企業がサプライチェーンのデジタル対応を求める傾向が強まっており、DX認定は取引先評価のプラス要素になります。
メリット5: 社内推進の後押し
「経済産業省の認定を受けた」という事実は、社内でDX推進の正当性を裏付ける強力な根拠になります。経営層のコミットメントを得る際にも有効です。
DX認定の要件
認定に必要な7つの要件
DX認定を受けるためには、以下の項目を自社ウェブサイト等で公表し、申請書に記載する必要があります。
| 要件 | 内容 | 公表方法 |
|---|---|---|
| 1. 経営ビジョン | デジタル技術を活用した経営ビジョンの策定 | ウェブサイトに掲載 |
| 2. DX戦略 | ビジョンを実現するための具体的なDX戦略 | ウェブサイトに掲載 |
| 3. 推進体制 | DX推進の組織体制、責任者の明確化 | 申請書に記載 |
| 4. 人材育成 | DX人材の確保・育成方針 | 申請書に記載 |
| 5. ITシステム | ITシステム環境の整備方針 | 申請書に記載 |
| 6. 成果指標 | DXの進捗を測る指標の設定 | 申請書に記載 |
| 7. ガバナンス | 取締役会等でのDX推進状況の監督体制 | 申請書に記載 |
「公表」の具体的な方法
最も多いのは、自社コーポレートサイトに「DXへの取り組み」ページを設けて公表する方法です。記載が必要な内容は以下の通りです。
- 経営ビジョン(デジタル技術をどう活用するかの方向性)
- DX戦略の概要
- DX推進体制の概要
- 具体的な取り組み内容
申請の手順
ステップ1: 自己診断(2〜4週間)
DX推進指標を使って自社の現状を診断します。認定要件との差分を把握し、不足している項目を整備します。
ステップ2: ウェブサイトでの公表(2〜4週間)
経営ビジョンとDX戦略をウェブサイトで公表します。テンプレートはIPAのサイトで公開されています。
ステップ3: 申請書の作成(2〜4週間)
IPAのオンライン申請システムで申請書を作成します。各要件に対する自社の取り組みを記載します。
申請書の書き方のコツ:
- 抽象的な記述ではなく、具体的な施策・数値を記載する
- 「予定」ではなく「すでに着手している取り組み」を中心に記載する
- 経営トップの署名(電子署名可)が必要
ステップ4: 審査(約60日)
IPAによる審査が行われます。書類審査のみで、訪問調査は原則ありません。不備があればIPAから照会が来ます。
ステップ5: 認定
審査を通過すると、経済産業省から認定通知が届きます。認定ロゴマークが使用可能になります。
中小企業が認定を取るためのポイント
大企業と同じレベルを求められるわけではない
DX認定は、企業規模に応じた取り組みを評価します。中小企業に大企業レベルのDX投資や体制は求められません。
中小企業の認定事例で見られる取り組み:
- CRMの導入による顧客データの一元化(関連記事: CRM導入の進め方完全ガイド)
- クラウド会計ソフトの導入による経理のデジタル化
- 社内コミュニケーションのチャットツール移行
- 経営者自らがDX推進をリードする体制
最低限必要な準備
| 準備項目 | 内容 | 工数目安 |
|---|---|---|
| DXビジョン策定 | 経営にデジタルをどう活用するかの方向性 | 1〜2週間 |
| DX戦略の文書化 | 具体的な施策と時間軸 | 2〜3週間 |
| ウェブサイトへの掲載 | ビジョンと戦略の公表ページ作成 | 1週間 |
| 申請書の作成 | 7つの要件への回答 | 2〜3週間 |
合計で2〜3ヶ月あれば、中小企業でもDX認定の取得は十分に可能です。
認定更新と継続的なDX推進
DX認定は2年ごとの更新が必要です。更新時には、前回認定時からのDXの進捗状況を報告します。認定は「取得がゴール」ではなく、DXを継続的に推進するためのマイルストーンとして活用すべきです。
DX認定制度は、中小企業にとっても手が届く制度であり、取得プロセス自体がDX推進の整理と加速に役立ちます。まずはIPAのウェブサイトで申請要件を確認し、自社の現状とのギャップを把握するところから始めてください(関連記事: CRM導入のROI完全ガイド)。
CRMで実現するDX認定制度とは?取得メリット・要件・申請手順をわかりやすく
DX認定制度とは?取得メリット・要件・申請手順をわかりやすく解説を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「中小企業に最適なCRMの選び方|従業員50人以下で成果を出すための導入戦略」で解説しています。
次のステップ
DX認定制度に取り組むなら、CRM・データ基盤の整備が成功の鍵です。以下の記事でHubSpotを使った具体的な実践方法を解説しています。
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まとめ
- DX認定制度は経産省の国の認定制度で、2025年時点で約1,200社が認定済み。中小企業の取得も増加傾向
- 主なメリットは税制優遇(DX投資促進税制)、融資制度、DX銘柄応募資格、採用ブランディング
- 要件はDXビジョン・戦略・推進体制・人材育成・IT環境・成果指標・ガバナンスの7項目を公表すること
- 申請はIPAのウェブサイトからオンラインで行え、審査期間は約60日。有効期間2年で更新が必要
- 認定取得をDX推進の「ゴール」ではなく「マイルストーン」と捉え、継続的な改善につなげることが重要
よくある質問(FAQ)
Q1. DX認定の取得にはどのくらいの期間がかかりますか?
準備期間2〜3ヶ月+審査期間約60日で、合計4〜5ヶ月が目安です。自己診断に2〜4週間、ウェブサイトでの公表に2〜4週間、申請書作成に2〜4週間、その後IPAによる書類審査が約60日です。中小企業でもこのスケジュールで十分取得可能です。
Q2. DX認定の取得費用はかかりますか?
申請・審査費用は無料です。ただし、ウェブサイトでのDXビジョン公表ページの作成や申請書の作成に社内工数がかかります。外部コンサルタントに支援を依頼する場合は別途費用が発生しますが、自社対応でも十分に取得可能です。
Q3. DX認定とDX銘柄の違いは何ですか?
DX認定は全企業(上場・非上場)が対象で、DXに取り組む経営ビジョンと戦略を公表していれば取得可能です。DX銘柄は上場企業のみが対象で、DX認定取得が前提条件となった上で、優れたDX実績が評価されて東証と経産省が共同で選定します。中小企業はまずDX認定の取得を目指すべきです。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。